Appleは大好きだと置き換えてみると

「アップルは嫌いだ」という事を「アップルは大好きだ」に置き換えると、言っていることは同じでも、とても聞こえが良い言葉になります。

「iPhone 4S」に見るスティーブ・ジョブズのDNA  2011年10月12日
「iPhone 4S」の発表と創業者スティーブ・ジョブズの死――先週はアップルが2度に渡って世界のニュースを独占した 。
何よりもほかのスマートフォンとは一線を画すiPhone 4の、あの優美な完成された形がほぼそのままなのは、ある意味、ものすごくスティーブ・ジョブズ的だし、喜ぶべきことのようにも思える。

実は今、世界でも日本でも急速に利用者が増えている「MacBook Air」は、2代に渡ってまったく同じ形だ。
MacBook Proという製品に関してはさらにすごい。なんと3年の間、3世代に渡って一度も形が変わっていないのだ。
これらのノート型Macは、使いやすさと頑丈さ、低価格と高性能の究極なバランスポイントを追求した結果、1枚のアルミ板をくりぬいて作るのが正しいという結論に達し、実際にそうして作られている。
それ以来、MacBook Proは3代にわたって同じカタチを継承しているのだ。

ThinkPadシリーズをデザインしたリチャード・サッパー氏も、1つのジャンルの製品は、1度しかデザインしないと聞いたことがある。
1つの製品に対しての回答といえるカタチは、究極的には1つしかないという考え方だ。
スティーブ・ジョブズ氏は、デザインこそが製品開発の要であり、中心であることに真っ先に気づき、そうした“モノ作り”ができる企業体制をしっかりと築いた。

アップルはデザインの会社だ。
アップルのほとんどすべての製品の裏側に「Designed by Apple in California.」と書かれていることも、そのことを象徴しているように思う。
人々が本当に喜ぶ音楽プレーヤーはどうあるべきか。
それを考えるうえで、まず大事なのは製品としての完成されたコンセプトであり、それができて初めて、素材や形、ストレージ容量やFireWire/USBバージョン、そして価格との調整が始まる。

アップル製品で使用されている部品の価格が調査会社から発表されこれを参照するとかなり低コストで製造されているような印象を受けるが、1つ1つの製品にかけている手間と努力と人件費でいえば、アップルはおそらく“異常な会社”に属するはずだ。
しかし、そこまでしていい製品を作れば、今はきちんと売れる時代だ。
だからアップルは、同じ製品を、世界中で、1台でも多く売れるような流通・販売の仕組みをデザインして回収する。
これもアップルのデザインの一部だ。

その製品をどんなパッケージに入れ、どのように店頭に飾れば最も魅力的に映るかもデザインされていれば、それをどのように輸送すれば最もコストを削減できるかも、どのような宣伝文句を添えれば世界中で同じイメージを発信できるかもすべてデザインされている。
アップルは、iPhoneで利用されるアプリケーションの売り上げの3割、書籍の売り上げの3割、音楽や映画の売り上げの一部など、端末が売れた後もアップルにお金が落ち続ける収益モデルをデザインした。
アップルは1つ1つの製品に、ほかの多くの企業をはるかに上回る手間をかけて作っている。
だから無駄に製品を増やすこともしないし、意味のない形状変更も減らしている。
こうした全体的アプローチ、完璧主義のアプローチは、まさに“スティーブ・ジョブズらしい価値観”と言っていいと思う。

ジョブズ氏は2007年にこんなことをいっていた。
「アップルをハードウェアの会社だと思っている人も多いが、実を言うと我々はソフトウェアの会社で、iPodという“ソフトウェア”にきれいな皮をかぶせているだけに過ぎない」と。

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