利益のキャノン、品質のニコン


OLIMPUSが連日の報道で存続すら危ぶまれており、とりわけカメラ部門の赤字が深刻なようです。
OLYMPUS PEN E で「女子カメラ」という新しい消費者を開拓したばかりなので、現場は悔しい思いをしていることでしょう。
かつて、公共事業の談合や耐震偽装が問題になった頃、あるゼネコンの一級建築士が「談合という不正があっても、建築では一切不正はない」と断言していましたが、はたして、経営者の姿勢は品質に影響はないのでしょうか?
キヤノン会長の御手洗冨士夫は、米国キャノンの社長時代にすっかりセレブ生活の味を占め、秘書の仕事は高級ワインを味わえるレストランを1日3店抑えることだったとか。
1995年に前社長の死去を受けて創業家の6代目社長となると、アメリカ仕込みの合理的経営を導入して、非正規雇用を拡大することで正社員の雇用を守りました。
その功績が認められ経団連会長に選ばれ、現在は名誉会長です。
そして、不当に安い日本の役員報酬も改正して、昨年度は2億6500万円とか。
この人物は、自身をキャノンにおけるスティーブ・ジョブスと思ったようで、技術者に対しても過大な要求を突きつけます。
APSカメラのヒット商品 IXY のデジタル化に際しては、開発チームが Powershot で進めていた高機能を小さな IXY に詰め込むよう命じています。
おかげで2000年発売のIXYは狙い通りヒットした反面、Powershotは「中途半端なカメラ」と云われました。

プロ用の35ミリフイルム一眼レフでは1980年代前半までは、ニコンが圧倒的に強かったように思います。
それが、徐々に白いレンズが特徴なキャノン一眼がスポーツ紙で使われ初めました。
デジタル一眼レフでは、受光素子の自社開発で先行したキヤノンの独擅場といった感がありました。
私もキャノンお抱えカメラマンの賞賛記事に誘導されて、EOS kiss N を買ってしまいました(杜甫々)。

会社の規模、売上で比べると大差でキャノンの勝ちですね。
キヤノンのカメラは誰が撮ってもそこそこ撮れるカメラ。
ニコンは通好みのカメラだと言われ、今でもプロには絶大な信頼を受けています。
このニコンの信頼がどこからきているのか探してみると、こんな記事がありました。
利益のキャノン、品質のニコン」 東京経済 2009/05/14
キヤノンの主力カメラ工場は九州・大分県に立地している。
御手洗毅氏が建設した大分キヤノン安岐事業所と、御手洗冨士夫氏が建設した大分事業所だ。
この2工場がキヤノンのカメラの7割弱、すべての一眼レフを製造している。
大分キヤノンを支えてきたのが、常時数千人規模で製造現場に従事する請負労働者だ。
「他社の工場からキヤノンに来て感じたのはクリーンルームの汚さ。」
今年初めまで大分事業所で働いていた30代男性は、現場の様子をこう振り返る。

その結果が、不良品の多いキャノンとなって、プロから敬遠されているようです。
結論:経営者の姿勢は品質にも及ぶ。

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