ストレージ容量増量の法則

Gmailの残り容量が心配という方がいたので、心配無用とお答えした理由を記述します。
私がメールをMicrosoftのOutLook ExpressからGoogleのGmailに変えたのは2007年1月8日のこと。
Outlook Expressの受信トレイには2GBまでという容量制限があり、残り容量が少なくなると起動が遅くなり、最悪、新着メールの受信ができなくなります。
そこで、最適化を行うと、受信トレイからメッセージが消えてしまったりと、散々です。
一方、Gmailは2004年4月1日に1GBでスタートして、翌年には2GB、2007年末には4GBとなっていました。
2012年1月現在では7.6GBとなっています。
これだけの容量を無料で提供するGoogleという企業に感心させられますが、ちゃんと広告で収益を得ているというのですから、「与えれば与えるだけ己に帰ってくる」ビジネススタイルを実現していることに再度感心してしまいます。

当然、Googleのサーバーには相当な数のハードディスクがあると予想されます。
という訳で、どのように運用されているのか検索してみました。
2007年のFailure Trends in a Large Disk Drive Population によると、Googleは10万台のHDDを使った結果、HDDは温度や使用頻度に関係なく故障するという結論に至ったとあります。
また、業務向けの高価でハイエンドなSCSI/FC HDDと安価な民生用のSATA HDDに差がない為、Googleは自社サーバに民生用のATAあるいはSATAの容量80GB~400GBを使っており、その時点でもっともコストパフォーマンスの良いHDDを購入しています。
必ずRAID5という3台のHDDにデータをコピーしているので、万一、1台が故障しても他の2台があるから安心という運営です。
一方、HDDの価格は1年で半額に下落しますから、仮に2年前に1万円だった250GBのHDDが故障したら、同じ費用で4倍の容量1TBのHDDに交換できます。
という訳で、同じ費用で新たな顧客を増やすことも、顧客の容量を増やすことも可能になります。
このような仕組みから、Gmailの容量は今後も増加していくという次第です。
  Google 社屋
むしろ、現在では90万台といわれる巨大なサーバーを運営するための電気代の方が大変なようです。
Powering a Google search によると、 Google 検索クエリーが 約 0.0003 kWh を消費し、検索ごとに 1 kJ のエネルギーが消費されるとあり、2010年時点で年間30億円以上とされる電気代の増加から、Googleは米連邦エネルギー規制委員会(FERC)に電力販売事業を申請しました。
  ソーラーバネル満載の現社屋
設立されたGoogle Energy  は電気の販売を全米で提供できるようになりましたが、当面はより安価な電力をGoogle自身に提供することを目的としています。
2030年には Clean Energy 2030 という全米の電力を石炭と天然ガスなどの化石燃料への依存を減らし、省エネとクリーンエネルギーの利用を大幅に増加させることを目標に掲げています。
発送電分離のアメリカだから可能なビジネスで、日本も見習って欲しいものですね。

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